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静寂と安寧。
欲しいのはただそれだけ。

騒音には耳栓がおすすめ

私がはじめて耳栓と出会ったのは1986年のことである。
当時高校生だった私は、よく友達と近くの図書館に出かけ、そこの自習室で受験勉強をしていた。
しかし、生来の神経質傾向もあって、周りの雑音に集中力を削がれるという問題が度々あった。

そんなある日、グッドタイミングな事件が起こった。
なんと、テレビで耳栓のコマーシャルが流れたのである。
そう、『イアーウイスパー』である。
製品名を憶えているわけではないのだが、あの黄色い円柱形状のフォルムから考えて『イアーウイスパー』で間違いないと思う。
当時、テレビで耳栓のコマーシャルが流れることに、妙に違和感と新鮮さを感じたものである。
それはこんなコマーシャルだった。

女の子(男の子だったかも?)が耳栓を装着し、勉強開始。
しばらくたって母親(大阪のおばちゃん風)が部屋に入ってくる。
女の子は勉強を終え耳栓を取り外す。
母親は神妙な面持ち(面白い変な顔)で女の子に尋ねる。「集中した…?」
女の子はつぶやくようにこう答えた。「集中したー!」

このインパクト溢れるCMは、友達の間でも話題になり、「集中したー」という言葉が流行った。
授業が終わるたびに、友達どうし「集中したー」と言い合うことで、ささやかな達成感と自己満足を味わうことができたのである。

当時高校生だった私は、『耳栓』という言葉は知ってはいたものの、そんなものが本当にこの世に存在するとは思っていなかった。
実際に売ってるところを見たことがなかったからだ。
たとえ存在したとしても、私が想像もつかないようなマニアックな職業の人が使う、とてもマニアックな代物なんだろうなと考えていた。
ところが『イアーウイスパー』のテレビCMにより、自分の手の届くところに『耳栓』の存在を知ることとなり、胸がときめいた。

早速、友達と学校の帰りに近くの薬局に買いに行った。
帰宅後、早速試してみた。
しかし、どうもうまくいかない。
きちんと耳の中に収まらないのである。
説明書には「最初にマッチ棒のように細く丸めて…」というようなことが書いてあったが、この段階でどうも無理があるように思えた。
どう頑張ってみても、マッチ棒のようには細くならない。
仕方なく、細さはある程度妥協して、装着を試みるのだが、耳の穴に半分ぐらいしか入らない。
おまけに、しばらくするとスポンジの反発力で耳栓が「スポッ」と外に出る始末。
何日間か試してみたが、結局うまくいかず私の耳栓はお蔵入りになった。

一方、一緒に耳栓を買った友達は、コツをつかんだようである。
彼は『イアーウイスパー』がえらく気に入り、図書館で勉強するときはいつも耳に入れていた。
こちらが話しかけても「聞こえませんよ~」とばかりにまったく相手にしてくれない集中ぶり。
ちなみにその友達は有名国立大学に現役合格した。
「耳栓を制する者は受験を制す」という名言があるわけではないが、とにかく彼の集中力がすごかったことを今でも憶えている。

その後17年間、私は耳栓のことなどすっかり忘れていた。
耳栓のCMもあれっきり目にすることはなかったし、耳栓の必要性に迫られることもなかった。
静かで平和な日々が続いた
ところが2003年秋ごろから、突然家の近所が騒々しくなってきた。
こういうのを「シンクロニシティ」というのだろうか、同時に近所の複数の家から騒音が発生するようになったのだ
騒音源は次の3つである。

騒音源事例推定db
A家
(向かい隣)
50歳ぐらいの独身男性が失業。朝から晩までステレオで大音量。100db
B家
(真向かい)
玄関ドアを改装した。重たいドアを乱暴に閉めるため強烈な振動音。110db
C家
(裏隣)
突然犬を飼い始めた。躾をしないため無駄吠えをする。90db

おまけに、ちょうどこの頃から私は自宅を事務所代わりにして仕事をするようになっていた。
朝から晩まで騒音にさらされることになり、逃げ場がない。
そういうわけで私の耳栓生活が始まったのである。

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